【中間報告】採択プロジェクト2024年度|③地域みんなのごちゃ混ぜLIVE
2024年度採択プロジェクトの中間報告で「③地域みんなのごちゃ混ぜLIVE」を実践しているたまプラーザ・みまもりあいプロジェクトのメンバーさんに、活動の想いや進捗状況についてお聞きしました。
― 活動を始めたきっかけや活動に対する想いをお聞かせください。
「認知症の人だから」ではなく「一人の住民として」音楽を楽しんでもらいたい。そんな思いから生まれたのが「3丁目バンド」。何年か前に、バンドの結成を認知症の人に聞くと「ぜひ、やらせてください」という声も後押しとなり、活動は今年で4回目を迎えた。
歌は楽器がなくても声があれば誰でも参加できる。バンドは「一緒に楽しめる」場として広がってきた。メンバーは当初3名からスタートし、現在は8名に。ライブではリクエスト曲を7〜8曲演奏し、約2時間のステージを楽しんでいる。
昨年のLIVEは、総来場数198名・オンライン参加28名・サテライト会場14施設(120名)。3丁目カフェのリアル会場には50人が参加してくれた。
― be Orange では、2回目の助成になります。活動を通して見えてきたことはありますか?
活動を通して見えてきたのは、当初あった「認知症だから」という偏見が薄れ、参加者自身も「自分が偏見の目を向けていた」と気づいたこと。
また、音楽が持つ不思議な力にも気づいた。普段は言葉を発するのが難しい方が、ステージでは思わずツッコミを入れる場面も。家族からは「こんな表情を何年ぶりに見た」と喜びの声が寄せられる。認知症があっても、音楽が心を動かし、表情や記憶を引き出すきっかけになることを実感している。
― 活動を続けていく上で苦労したことや課題をお聞かせください。
音楽性を追求しすぎると当事者の負担になり、楽しむ場から外れてしまうこと。人が増えると意見も増え、一つにまとめる難しさもある。
その中でも自然に認知症への理解が広がり「特別なことではない」と感じてもらえること。「見世物ではなく、みんなが同じ目線で楽しむ場」を目指して活動は続いている。これまでの拠点だった地域の3丁目カフェは、今年で一区切りに。11月には青葉区公会堂で収容人数600人の会場をかりて「オレンジ音楽祭」を開催予定。参加募集人数は200人(最大600人)としている。地域の皆さんとともに、さらに大きな輪を広げていきたいと思う。
― 9月のLI VE・11月の音楽祭へ向けて、今はどんなことを行なっていますか?
リクエストに応じて演奏するため、結構練習は大変。昨年のリクエストは、ルイジアナママ、負けないで、チャンピオンがあった。今年は、愛は勝つもある。
リクエストは、集まってきているが、自分たちの技量的なこともあって、選曲が難しい。
今は、LIVEに向けて演奏が決まった曲から練習を始めている。全体の練習は、1ヶ月に1回くらい。遠方で来れない方には、音源を送ったりして、それぞれが練習を行なっていたりする。
― 最後に、この活動で目指していることをお聞かせください。
全国で行われている「RUN伴(ランとも)」という認知症理解を広めるイベントの“音楽版”を目指している。
音楽祭は、今年初めての開催だが、昨年のライブでは「ここ数年見たことがない笑顔を見られた」と家族が話したり、1年前のステージを覚えていた人もいた。音楽を通じ、記憶や感情が呼び覚まされる瞬間がある。また「施設ではなくライブなら参加しやすい」との声もあって、地域住民が気軽に認知症と向き合える機会にもなっている。
メディア取材も増え、少しずつ地域に浸透してきた。支えてくれるのは、地域の人や友人、オンラインで応援する人たち。いろんな人と関わりながらこの音楽祭を育ていけたら。
活動はまだ途上だが「音楽を楽しむ」その姿が、地域の見方を変える力になりつつある。
応募プロジェクト
http://www.be-orange.jp/projects/1848/
2024年度採択されたプロジェクトの活動は2025年11月末まで。
このあとの活動も見守っていきたいと思います。